ニュージーランドの北島。
ここにはまだ、人の手が入っていない、純粋な原生林が存在する。私は、ここに二回、行った。
空は青く、海は広く、その雄大さに自分の小ささを感じた。
小さい自分が、回りの目や固定観念で傷つけられてきたのに、自分でも自分をダメにしてた。
自然のなかに身を置くだけなのに、心にこびりついた痛みを剥がしてくれる。それだけでなく、モヤモヤしていたことがスッキリと整理整頓される。
辛かったことが、いとおしくなる。大事なものは、より大事と思える。
古木カウリは、先住民マオリにとって神様も同じだ。はじめは小さな種でも、時を重ね、森の神様、森の父と呼ばれるまでになる。カウリに会いに行くとき、列の先頭をマオリ族の男性が歩き、独特の節回しで歌う歌は厳かさを感じさせた。本当に本当に大切な宝物に会いに行くのだと、覚悟さえ要るような。
森の神様と呼ばれる木の前で、私は、泣いた。木は喋らないけれど、”良く来たね。良く頑張ったね”と励ましてもらった。全てを知る存在。時空を越えて、私を知っているのだと。
抱かれた愛は、深くて心地よかった。
開発も良い。便利も捨てがたい。
けれども、自然と共にあり、自然を活かす在り方を軸にしたい。